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病院から自賠責保険では健康保険は使えないと言われました。

[記事公開日]2011/01/14
[最終更新日]

交通事故で病院にいったときに「交通事故では健康保険は使えない」とか「自賠責の限度額120万円までは健康保険は使えません」と、言われる場合があります。健康保険

結論から言うと、交通事故で健康保険が使えないというのは真っ赤なうそです。

なぜ、病院がそういった嘘をつくのかというと、健康保険を使わない自由診療の場合では、保険診療と2~3倍ほど診療代に差が出るからです。通常、診療報酬というのは、その医療行為によって点数が決められていて、その点数の合計に単価を掛けて計算されます。

健康保険の場合では、1点10円と単価が決まっているので、それ以上の請求はできません。しかし、自由診療の場合は、単価を自由に決めることができるので、1点30円でもいいわけです。病院にもよりますが、1点50円のところもあります。

そこで、病院側は経営上の理由から、本来受けられるべき健康保険を「ダメ」といっているのです。しかし、大阪地裁判決 S60-6-28でも、「保険が使えるのにそれを拒否することはできない」と言っています。

また、東京地裁判決H元-3-14では、保険会社から病院に対しての過払い分の返還を認める判決も出ています。

さらに、厚生省が「自動車による保険事故も一般の保険事故となんら変わりが無く、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう、住民、医療機関に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解されるように指導されたい……」と通達を出しています。(昭和46年通達106号) それでも、たまにこんなことを言う病院がいます。

「自賠責の120万まで自由診療をやらせてくれ」

自賠責保険から支払われる120万円まで自由診療をして、それ以上は健康保険を使うということです。、自賠責保険の範囲なら、と、被害者にとってはあまり変わらないと思いがちですが、自賠責保険の限度額を越える時は過失減額が適用されたりするので(自賠責の場合は、被害者に7割以上の過失がなければ減額されない)、他の賠償金もできるだけ自賠責から請求したいものです。

健康保険を使い治療費を抑えて、あまった枠で治療費以外の休業損害慰謝料を自賠責基準で得るのがテクニックといえます。月に15回くらい半年間通院したのにも関わらず120万円を超える場合と超えない場合の通院慰謝料は、120万円を超えない場合の慰謝料の方が高額になる事がほとんどです。これは自賠責基準の慰謝料か、任意保険基準の慰謝料かということなのです。

健康保険の適用をどうして拒否をされるようなら、徹底的に戦うか、そんな病院には見切りをつけて転院をするかです。ただ、病院で健保適用とする方法で経験上一番スムーズにいくのは、病院に対して「○○に第3者行為手続き手続きしています」というのが一番有効です。

自賠責を使用した慰謝料増額の怪

条件:
A,通院期間180日 実通院日数90日 治療費(自由診療)80万円
B,通院期間180日 実通院日数90日 治療費(健保使用)20万円
*健保求償、通院交通費、休業損害等は考慮しない

この場合の慰謝料は、自賠責基準で180×4200=756.000円

そして、治療費と慰謝料を合計すると、(自賠責の傷害上限は120万円)
Aの場合、80万円+756.000円=1.556.000円
Bの場合、20万円+756.000円=956.000円
となります。

Aの場合、自賠責の上限金を超えているので、任意基準で慰謝料が計算されます。すると65万円程度の慰謝料になってしまいます。

Bの場合、任意保険会社が対応していたとしても、自賠責保険内の解決となりますので慰謝料は756.000円と計算されます。

つまり、AとBを比べると、健康保険を使用した場合のほうが同じ通院期間で同じ通院回数でもBのほうが慰謝料が高額になるという事がわかります。

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4 thoughts on “病院から自賠責保険では健康保険は使えないと言われました。

  1. 健康保険が後日、事故での治療費(7割?)を自賠責保険に請求すると聞いたことがあるのですが本当でしょうか?
    その時に、120万円の枠から出たら慰謝料の減額になりますか?

  2. そもそも自賠責の考え方がおかしいと思います。今の例でAとBが違う人で保険は同じ健康保険を使った場合を想定するとします。Aの治療費が80万円でBの治療費が20万円だったらおそらくAのほうが重傷だったと思います。しかし治療日数が同じだと慰謝料の総額は変わりません。Aがより苦しんだと思われるのに慰謝料がより少なくなるのは納得できません。このような場合何か違う計算方法があるのでしょうか?

    1. 自賠責では勘案されませんが、裁判所基準や任意保険でも受傷の程度によって慰謝料は増額されます。つまり、自賠責以外では受傷の程度は勘案されるので、違う計算となります。

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