Top
交通事故戦略サポート > 判例 > 判例:自動車検問は任意であり車の利用の制約しなければ適法

判例:自動車検問は任意であり車の利用の制約しなければ適法

[記事公開日]2011/09/27

判例要旨

1.自動車検問は任意で行われ、運転者の自由を不当に制約しない限り適法である。
昭和56年12月22日 最高裁判所第三小法廷

理由

 被告人本人の上告趣意のうち、憲法違反をいう点は、原審において主張、判断を経ていないものであり、また、判例違反をいう点は、引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、その余は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

憲法違反・判例違反という事はない

 なお、所論にかんがみ職権によつて本件自動車検問の適否について判断する。警察法二条一項が「交通の取締」を警察の責務として定めていることに照らすと、交通の安全及び交通秩序の維持などに必要な警察の諸活動は、強制力を伴わない任意手段による限り、一般的に許容されるべきものであるが、それが国民の権利、自由の干渉にわたるおそれのある事項にかかわる場合には、任意手段によるからといつて無制限に許されるべきものでないことも同条二項及び警察官職務執行法一条などの趣旨にかんがみ明らかである。自動車検問は必要だが、国民の権利・自由を考えると全くの自由ではない。

しかしながら、自動車の運転者は、公道において自動車を利用することを許されていることに伴う当然の負担として、合理的に必要な限度で行われる交通の取締に協力すべきものであること、その他現時における交通違反、交通事故の状況などをも考慮すると、警察官が、交通取締の一環として交通違反の多発する地域等の適当な場所において、交通違反の予防、検挙のための自動車検問を実施し、同所を通過する自動車に対して走行の外観上の不審な点の有無にかかわりなく短時分の停止を求めて、運転者などに対し必要な事項についての質問などをすることは、それが相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車の利用者の自由を不当に制約することにならない方法、態様で行われる限り、適法なものと解すべきである。自動車検問が任意で行われている限り適法である

原判決の是認する第一審判決の認定事実によると、本件自動車検問は、右に述べた範囲を越えない方法と態様によつて実施されており、これを適法であるとした原判断は正当である。

どこまでが任意なのか、それが重要だと思いますが、「短時間であれば」と「外観上の不審な点」というのがポイントです。とはいっても、任意を拒否して逃走をすれば「公務執行妨害」と騒がれることでしょう。

 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

  昭和五五年九月二二日

     最高裁判所第三小法廷

         裁判長裁判官    寺   田   治   郎

            裁判官    環       昌   一

            裁判官    横   井   大   三

            裁判官    伊   藤   正   己

戦略
各種お問い合わせ

この記事のご質問はこちらにお気軽にどうぞ

メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。
個人情報などの特定情報を除いて、(ニックネーム)も含めて承認後にこのページに公開されます。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。

-