「そっちからぶつかってきたんだからそっちに100%の過失がある。
だから責任をもって全てこちらの言うとおりにしろ」
「過失割合は100%です。それは確かです。ですから、正当な損害についてはお支払します。しかし、何が正当かについてはこちらにも意見があるので話し合いをさせていただきたいと思います。」
「意見とは何か」
「交通事故による損害は、通常生じる範囲内に限ります。特別な事情による損害は補償の対象にはなりません。これは法律で決まっていることです。それを踏まえて十分話し合いをさせてください。」
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交通事故の被害者が無理な要求をしてくる事は結構あります。要求の内容によっては、どちらが被害者かわからなくなってきます。傾向として被害者の過失が無ければ無いほど、その欲求はエスカレートしてきます。
しかし、そのようなときにこそ明確に「損害は通常生ずる範囲に限る」といわなければなりません。交通事故の加害者は、被害者からの要求に必要性と相当性のあるものに対応をします。
タクシー代が認められるのはタクシーの利用に必要性があるときです。
治療のための温泉代も認められるのは稀です。
マッサージも全額は難しいでしょう。
確かに怪我をさせたのは加害者です。
しかし、被害者にも損害を最小限にとどめる義務もあるのです。
無理な要求をする被害者に対しては、時として毅然とした態度も必要です。