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当て逃げ(あて逃げ)~物損のみ~

[記事公開日]2012/11/15
[最終更新日]

車でモノに当てたまま逃げてしまった場合、その運転手は刑事処分上では、道路交通法違反(事故不申告)となります。ただ、罪名を同容疑として逮捕された事例は確かに存在しますが、ほとんどの場合は逮捕までには至りません。と、これは刑事事件での話となります。加害者にはこの刑事処分とは別に、行政処分が行われる場合があります。

ところで、このような当て逃げの加害者・犯人に「器物損壊」という罪名を適用できるのか?という質問がありますが、器物損壊は故意犯というもので、「わざとぶつけた」という事実がない限り適用されません。よって、一般的な当て逃げ事故では、わざとぶつけることは考えにくいので、器物損壊の被害届などは提出できません。

当て逃げの処分

当て逃げの刑事処分について、道路交通法の第百十七条の五で、「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金」と、一応その処分が決まっています。

そして、加害者に対する行政処分ですが、
「物損事故の場合の危険防止等措置義務違反(あて逃げ)5(付加点数)」
という決まりがあります。

この物損に対する当て逃げは付加点数といい、事故に至った基本的な違反行為に対する基礎点数がなければ付けられることはありません。大抵の基礎点数には「安全運転義務違反、2点」が基礎点数となった行政処分が下されます。ただし、軽微な物損事故で示談前提となっている場合は、この行政処分は行われないことが大半です。

実際に当て逃げで刑事処分を受けるケース

人身事故で加害者が事故現場から逃げた場合は、罪が重いひき逃げ(救護義務違反)となりますが、救護義務違反で警察が送検しても、検察で救護義務違反とまでは言い難い判断されて不起訴となり、刑事処分上ではひき逃げにはならないケースがあります。そのような場合は、物損事故不申告(一年以下の懲役又は十万円以下の罰金)という罪名で起訴されることがあります。

ひき逃げと当て逃げの違い

ひき逃げの場合免許取り消し、当て逃げの場合は免許停止というのが基本です。
どちらも前科となりますが、ひき逃げの刑は重く、当て逃げの刑は比較的軽いか前科とならない時もあります。

そして、ひき逃げと当て逃げが違う点は、警察の捜査に対する意気込みと言えます。

ひき逃げは受傷者が自動車運転過失致死傷罪または危険運転致死傷罪の被害者になるということで「被害者」が存在します。そして、救護義務違反にも「被害者」が存在すると考えられるので、これらの「被害者がいる」という性質上からも警察は本気で捜査をします。

これに対して、当逃げは被害者というものが存在しないことになります。
なぜならば、ぶつけられえた側を被害者として加害者を罰する法律がないからです。冒頭に述べた「報告義務違反」は警察に対する違反と捉えられ、ぶつけられた側は被害者とはなりません。ナンバーがわかれば相手を割り出すこと程度のことはしますが、もちろん、損害賠償につては「民事不介入の原則」というものがある通り、警察は原則として関与しません。つまり、損害賠償請求のために捜索は行わないという事になります。

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