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鞭打ち(むちうち)・頚椎捻挫の場合の後遺症認定

[記事公開日]2010/12/26
[最終更新日]

はじめにお断りをしておきますが、頚椎捻挫(むちうち)で後遺障害の等級が取れず慰謝料が支払われないという事はありません。そして、頸椎捻挫だけで賠償金が1000万円を超えたりしたという話は、逆にいえば、その被害者は後遺障害の等級を取っているという事です。

鞭打ち(むちうち)・頚椎捻挫は、交通事故処理のなかでもよく揉める事が多い症状です。なぜかというと、鞭打ち(むちうち)・頚椎捻挫の中には、医者から診て症状が他覚的に判断できない、いわゆる、「自覚症状のみ」のとなるからです。悪い被害者の中には、このむち打ちをエサに「首が痛い」と言って慰謝料をふんだくろうと考える輩もいます。(その昔、半年間の通院で14等級、一年の通院で12等級が認められていましたが、そういった事は現在ではありえません。)そういった輩がいるので、むちうちというと「お金目当てか」などと思われ、乱暴な損保会社の担当者から「もう十分でしょ。いつまで通院するんですか!」などと心ない言葉を発せられる事もあります。

しかし、もちろん、鞭打ち(むちうち)は立派な交通事故による損害なので、むちうち頚椎捻挫)に対してはきちんと慰謝料の支払いなどの損害賠償がなされます

そして、後遺症と判断され後遺障害の等級が取れれば、慰謝料や逸失利益もも支払われます。するといっきに賠償金は跳ね上がってしまいます。後遺障害についてむちうち症の場合、後遺症には3つのレベルがあります。それを以下でご説明します。

頚椎捻挫とむちうち

むちうちの最上位レベル

「他覚的所見によって医学的に証明される」むち打ち|むちうち|頚椎捻挫、つまり、医者がMRI,レントゲン、脳波検査などによって裏付けができる場合です。この場合、神経学的所見が一致していれば後遺症等級は12級13号に該当します。

むちうちの通常レベル

「医学的に証明しうる精神神経学症状は明らかではないが、頭痛、めまい、疲労感などの自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定される場合」、つまり、むち打ちの症状が、MRI、レントゲン、脳波検査などによって確実に証明できない時、精神的なものであることが医学的に推定される場合です。この場合、後遺症認定は14級9号に該当します。

むちうちの残念レベル

「自覚症状に対して医学的に推定することが困難な場合。事故と因果関係がない場合」、つまり、本人以外は誰もむち打ちを確認できず、さらに医学的に頚椎捻挫の可能性が推定できないときの場合です。この場合、後遺症認定は非該当となります。

以上の3つのレベルに分けた場合、「むちうちの通常レベル」がもっとも後遺症等級を獲得するのに困難な状態と言えます。困難だからこそ相応の準備が必要で、準備が整えばこれらの症状でも等級は認定されるのです。

なお、むち打ち症は医学用語で「頚椎捻挫」や「頸部損傷」などといいます。他にも、推間板損傷など世間一般では広い意味で一括してむちうちと呼んでいるみたいですが、「腰痛」みたいなもので、正確性が求められる交通事故処理で、むち打ちと一括して呼ぶのには違和感があります。

それはさておき、文頭で「よく揉める」と書きましたが、それは、「自覚症状に対して医学的に推定することが困難な場合。事故と因果関係がない場合」です。むちうちが立証できなければ損害を立証できず、損害は賠償されないからです。

次に、むち打ち|むちうち|頚椎捻挫が後遺症認定とされた場合に注意したいのが、逸失利益の労働能力喪失期間と喪失率が限定されるところにあります。12級で5年から10年の喪失期間で14%の喪失率、14級で5年以下の喪失期間で5%の喪失率を認める例が多いです。

それと、休業損害です。例えば1年間通院した場合に、半年間は全休、残りの半年間は半休としたりします。

また、入通院慰謝料も特別に減額計算され、裁判所基準では6カ月の通院で89万円となり、通常の慰謝料である116万円の約80%となっています。

頸部捻挫の症状固定日以後の入通院について、首から腰に症状が移る事が考えられないこと、性格がヒステリーである可能性が高いこと、存在すると主張する症状の改善の兆しが見られないのにもかかわらず、通院が3年以上にも及ぶことなどの不自然不合理性により、誇張の疑いが強いとして事故との因果関係を認めなかったもの。(大阪地裁昭和57年判決)

被害者の症状は、被害者の特殊体質を土台に賠償問題解決の欲求が引き金となって発症した神経症であり、それは後遺症に該当する範疇であるが、心因的なものにより、事故との因果関係のある範囲は事故後6ヶ月間の慰謝料と甲池沼14等級に基づく逸失利益と慰謝料に限定すべきであるとしたもの。(名古屋地裁昭和 57年判決)

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