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18.運転者の夫の過失が同乗の妻にも適用される
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判例要旨
1.夫の運転する自動車が第三者と交通事故を起こした場合には、同乗の妻にも夫の過失が
考慮される。
昭和51年03月25日 最高裁判所第一小法廷
理由
上告代理人中島一郎の上告理由について
民法七二二条二項が不法行為による損害賠償の額を定めるにつき被害者の過失を斟酌することができる旨を定めたのは、不法行為によつて発生した損害を加害者と被害者との間において公平に分担させるという公平の理念に基づくものであると考えられるから、右被害者の過失には、被害者本人と身分上、生活関係上、一体をなすとみられるような関係にある者の過失、すなわちいわゆる被害者側の過失をも包含するものと解される。したがつて、夫が妻を同乗させて運転する自動車と第三者が運転する自動車とが、右第三者と夫との双方の過失の競合により衝突したため、傷害を被つた妻が右第三者に対し損害賠償を請求する場合の損害額を算定するについては、右夫婦の婚姻関係が既に破綻にひんしているなど特段の事情のない限り、夫の過失を被害者側の過失として斟酌することができるものと解するのを相当とする。このように解するときは、加害者が、いつたん被害者である妻に対して全損害を賠償した後、夫にその過失に応じた負担部分
を求償するという求償関係をも一挙に解決し、紛争を一回で処理することができるという合理性もある。同乗者の妻は運転者の夫と生活上身分上いったいをなすものといえるから、民法722条2項に基づき妻への賠償金額に対し夫の過失が考慮されるといっている。
これを本件についてみると、原判決は、被上告人Aは夫である被上告人Bの運転する自動車に同乗して岩手県盛岡市a町b丁目c番d号先の道路を進行中、上告人Cの運転する上告人有限会社北州急行所有の自動車に衝突され、傷害を被つたものであり、右交通事故における上告人Cと被上告人Bの過失の割合は、五対五であるが、被上告人A自身に過失はなく、同被上告人が被つた損害額を定めるについて、夫である被上告人Bの過失は斟酌すべきではないとするものである。原審は妻への損害賠償に対して夫の過失を考慮すべきでないといっているが、、
しかし、前記のとおり、夫の運転する自動車に同乗していた妻が第三者の運転する自動車に衝突されて、傷害を被つた場合に、その損害額を定めるにつき、特段の事情のない限り、運転者である夫の過失を被害者側の過失として斟酌すべきであるから、原判決には、この点について法令の解釈適用を誤つた違法があり、右違法が判決に影響を及ぼすことは、明らかである。したがつて、右の点についての論旨は理由があり、原判決中破上告人Aに関する上告人ら敗訴部分は破棄を免れず、前記特段の事情の有無、同被上告人の損害額を定めるについての過失の割合等について、更に審理を尽くさせるため、右部分につき本件を原審に差し戻すこととし、上告人らの被上告人Bに対する上告は、理由がないから棄却することとする。原審は誤りで、妻への損害賠償については夫の過失を考慮すべきだといっている。
よつて、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八四条、九五条、九三条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 岸 盛 一
裁判官 藤 林 益 三
裁判官 下 田 武 三
裁判官 岸 上 康 夫
裁判官 団 藤 重 光
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